ペットが心の支えになっている高齢者は随分と増えているそうです。このような高齢者の中には自分が亡くなった後、残されたペットのことを心配する人も多いですね。中には遺産をペットに遺したいと真顔で考えている高齢者もいますが、当然、ペットに遺産を遺すことはできません。
これまでは、
(1)ペットの面倒を見てくれそうな人に、遺言で一定の財産を遺贈する、
(2)飼い主自身の死を条件として、面倒を見てくれる人に贈与契約をする、
などがありました。しかし、自分の死後、必ず面倒を見てくれるという保証もなく、それほど普及していませんでした。
ここで出てきたのが「ペット信託」という考え方です。現在の「信託法」を利用した新たな仕組みです。一般的には
(1)まず飼い主を代表とする管理法人を設立し、あらかじめペットに残す財産を移す。
(2)自分が面倒を見られなくなった後に代わって飼い主となる人への遺言書を作ります。そのうえで、法人に移された財産が、ペットの飼育料などに使われるよう、飼い主となる人との間で信託契約を結んでおく。
という方法が考えられます。
このほか、信託銀行や信託会社と契約を結んで、ペットのための信託を専門とするNPOなどに世話を委ねたり、新しい飼い主を探してもらったりする方法もあります。
実際にこの方法でペットに遺産を遺したい場合には、事前にFP(ファイナンシャルプランナー)や信託会社、もしくは弁護士に相談するとよいでしょう。高齢者のペットを思う心境はとても強いものです。ご家族など相続の対象となる周囲の方々も十分に理解してあげることが必要です。