年金給付は通常の場合、賃金や物価の伸びに応じて増えていきますが、日本は少子高齢社会に向かっています。
そこで、「公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う年金給付の増加」というマクロでみた年金給付と負担の変動に応じて、年金の給付水準を自動的に調整するしくみである「マクロ経済スライド」が導入されたのです。
「マクロ経済スライド」を行う期間は2025年まで、スライド調整率は0.9%(※)が見込まれています。
(※) 公的年金被保険者数の減少率0.6%+平均余命の伸び率を勘案した一定率0.3%=0.9%
賃金・物価の上昇率が1.5%であれば、年金額の改定率は0.6%(1.5%-0.9%)になるわけです。
では、賃金・物価の上昇率が0.5%だとすれば、年金額の改定率は-0.4%(0.5%-0.9%)になるのでしょうか。
実はこの場合、改定が行われず、前年度と同じ年金額となります。
また、賃金・物価が上昇せず下がった場合は、スライド調整が適用されず、この下落分が引き下げられます。つまり、賃金・物価の下落率が-0.3%であれば、年金額の改定率も-0.3%になるわけです。
吉田 美砂緒 2015年04月10日
神奈川県ファイナンシャルプランナーズ協同組合
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